以下に当時の記事抜粋を紹介しますと。
見出しが「怪獣だ!少女が発見」
「生きた化石」特別天然記念物のオオサンショウウオは都立多摩動物公園に保護されたが1m近い大きさには係員もびっくり。「野生では恐らく世界一でしょう、大切に育てたい」と早速、文化庁へ飼育許可願いを出した。
八王子市下柚木(3班)に住む左官業、伊藤久吉さん(当時34才)の長女、ゆみ子ちゃん(当時由木中央小3年生)が、弟と二人で近くの田んぼに出かけたところ、田んぼのそばを流れる大栗川の泥と水草にしっぽだけを出している「怪獣」にびっくり、大急ぎで家へとんで帰った。
話を聞いた伊藤さんの仕事仲間鉄工業、田口正夫さんがコイをとるまき網などを持ち出して捕まえにかかったが「怪獣」は大あばれして網がズタズタに破れる騒ぎ。2時間ほど悪戦苦闘の末、やっとこの「怪獣」を捕まえた。
オオサンショウウオは普通、5〜70センチ位だが、捕まったのは体長92センチ、重さ12、3キロの大物。
オオサンショウウオは有尾目、ハンザキ科に属しイモリ科に近い動物。大昔、世界各地に分布していたが、ほとんど絶滅、日本と中国にしか現存していない。わが国では、岐阜、広島、岡山県の山間の渓流でよく見つかることがあるが、こんな大きいものが、しかも東京で見つかった例がない。
発見された同市由木地区は山に囲まれ水田や畑が多く、人家はほとんどない。同動物園の話だと、同地区にはこれまでオオサンショウウオが生息しているという報告はない。近くの家で飼っていたものが逃げ出したという話も聞いていない。新しい発見かも知れないという。
同動物公園は、許可が下り次第、専門係を配属し育てたいといっている。とりあえず、同公園の水族館に入れられたが、5、6匹のドジョウをペロリとたいらげ、見学の小学生たちも「ワッ、スゲエーゾ」とびっくりしたり、薄気味悪がったり。早くも同動物公園の「人気者」になっている。
注…同動物公園にその後を問合せたところ、十数年前に水族館をやめ、オオサンショウウオは他の施設へ移管したそうです。なお、日本記録は93年に広島で捕獲されたものが151センチ、重さ27、6キロでした。また千葉県鴨川でも生息が確認さています。
資料提供 5班 内田栄治氏