web版 第17-2号(No19)
   
  下柚木の地形・地質  副長会長 飯島利三

 その昔、平山在住の方と宗印寺から平山城址公園へ歩いているとき、「なぜこんな山の上に大きな石があるのだろうと不思議に思っていた」といわれました。「この石は古い古い昔に川が流れていて、その跡ですよ」、といってもそう単純に納得することは出来ないという様子でした。そのとき、この辺りの地形や地質の成り立ちについて話したことを思い出しました。

 私たちの先祖である新人、さらにその祖先の原人、猿人へとたどっても、それより遥か昔に川は流れていて、すでに現在の地形は出来上がっていたのでした。

 つまり、人類とその祖先は数十万年も昔のことですが、近隣の山にある石が川床をつくっていた頃は、さらに数百年万年前のことなのです。そこで残されている石の分布や配列、種類などを見て判断し、何処から何処へ流れていたかを類推しているのです。

 結果、このような石は「古い相模川が古い東京湾へ向かって流れていた」ということが定説となっていて、多摩丘陵全体に分布しています。

 最初に見つかったところから御殿峠礫層(れきそう:砂利の地層)と呼んでいます。そしてこの地層より上面は赤土といわれる火山灰の地層で、一般的には関東ローム層と呼んでいます。

関東ローム層はその発生源から四つに分けられています。

一番上面は立川ローム層と言われ、立川市を中心に平坦面に分布しています。多摩丘陵地域では、すでに現在に近い地形が形成されていて、立川ローム層は流出し見つけることは難しいです。

立川ローム層の発生源は、今の富士山の噴火によるもので、一万数千年にわたって噴火が繰り返され、その一部は泥流となって大月市まで流れ、桂川にその痕跡を見つけることができます。

この立川ローム層は、湿った状態で黄色・橙褐色を示し、乾燥すると白味が強くなり、四つの赤土の中で最ももろく、砕けやすく、層の厚さは一.五mくらいです。

立川ローム層の下は武蔵野ローム層といわれ、武蔵野台地を中心に広く分布している赤土です。

この地層は褐色でやや粘土質であり、その特色の一つとして褐色の中に白い帯が一本見られます。これは東京軽石層といわれ、当時の火山活動が激しく、大粒の火山灰の堆積があったものと思われます。

層の厚さは代表的なところで五mくらいで、主な供給源は古い富士山、箱根火山とされています。

 武蔵野ローム層の下は下末吉ローム層といわれ、代表的な地名、横浜市鶴見区下末吉の名が付けられています。この頃の堆積環境は湿地的状態にあったようで、この赤土は粘土化が進んでいて、褐色が濃く(黒味を帯びて)見えます。

層の厚さは数mと厚くなく、供給源は箱根火山といわれています。

 下末吉ローム層の下は多摩ローム層といわれ、主に多摩丘陵に分布しています。

四つの赤土の中で、一番下の位置に位置することから最も古い地層であり、層も三〇mくらいと一番厚く、たいへん長い期間にわたって火山活動が続いていたように思われます。

粘土化が進んでいて、色は褐色で、一部は灰色粘土になっているところもあります。主な供給源は古箱根火山といわれています。

 これらの赤土を一箇所で見ることは出来ません。観察できるところを露頭といい、複数種の赤土が見られる露頭は各地にありました。

しかし、開発が激しい多摩地域であるため、現在ではきわめて少なくなっているようです。

 赤土より下は古い相模川の跡で、その下は砂層や砂利の地層になっています。この地層の少し下の層から貝化石が発見され、海の底であったと思われます。

これらの地層を海成層といいます。紙数の関係から、以下のことについては次の機会といたします

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