[1] 川をきれいにしよう
40年位前の大栗川では天然うなぎがとれたそうです。大田平橋の辺りでは、子どもたちが泳いでいたなんて今では想像がつきません。
今回からは、私たちの住む由木を中心とした「水と生活のかかわり」を数回に分け勉強してみましょう。
昔の大栗川がきれいだったのは、当時、一面が雑木林だった南陽台や野猿峠に降った雨水は落ち葉が幾層にも積もった土壌にしみ込み、湧き出てきれいな水となり、たんぼや畑のわきを小さな小川となり流れていました。
丘陵の傾斜地を流れるせせらぎは、酸素を溶けこませ昆虫の死骸・ふんや枯葉などのごみである有機物を分解します。
このような作用は、大栗川の源流である鑓水や上柚木の丘陵そして里山でも同じでした。こうして作られたきれいな水を集めた大栗川は、川底のコケや川辺の葦や水草が更にきれいにしてくれました。
このような作用を「川の浄化作用」といいますが、もう少し詳しく解説すると、枯葉の土壌や水草に住むバクテリヤ、小さな水生昆虫、小魚などの働きがあるためです。
当時だって由木には農業を主とする人々は沢山住んでいたのですが、一面の緑に囲まれ、少ない農薬、水洗トイレの未普及とか合成洗剤を含まない生活排水なので、その時代の川の自浄作用で充分にまかなえ、きれいな大栗川が維持できたのでしょう。
したがって、今の大栗川の汚れは土地開発が進んで緑が少なくなり、下水道が入っていない家庭からの生活排水が直接に流しているからです。又、大栗川の改修時に川底と側岸をコンクリートで固め、自浄作用を奪ったことも一因です。
ところで東芝団地から薬科大へ抜ける市道の途中にある堀之内の寺沢川にはハヤらしき魚影が沢山見られます。
これは生活排水が少ないこともありますが、川の工事をするときに魚が飛び越えられる高さの堰を作ってあるからです。
改修工事にあたって、近くの自然を愛する市民環境団体が環境維持を考えた注文をお願いしたからです。
大栗川は歩道が整備され散歩には良いのですが、水は汚れ過ぎていて魚は棲めませんし、例えきれいになっても堰が高すぎ、下流から上流へは移動できません。
次回に続く