昔々、別所に立派な豪族が住んでおりました。この豪族には気持の優しい浄瑠璃(じょうるり)というお姫様がいました。姫は、なに不自由のない楽しい生活を送っていましたが、戦乱の世の中になり、姫の父や兄も戦いに行き破れて討ち死にしてしまいました。
そのため母も病気で亡くなりました。一人ぼっちになった姫は途方にくれ、「これからどうして生きて行こうかしら、私一人の力ではとても生きて行く自信も力もない」「私も早くあの世に行ってお父さま、お母さまにお逢いしたい」。
蓮の花が美しく咲いている長池が、悲しみと絶望から救ってくれるように感じた姫は、日頃から厚く信仰し守り仏としていた薬師の像を抱いて、この清らかな長池に身を沈めたのでした。後にこの姫が抱いていた薬師像が池から取り出され、薬師堂の本堂である薬師瑠璃光如来になったと伝えられています。
姫の身の上に、深く同情した村人たちは、毎年の5月5日に盛大な祭りをして木像を長池に投げ入れ、姫の霊を慰めたということです。
◆別所の木像薬師如来像について
薬師堂本尊像は、像高157cm、昭和36年1月に都文化財に指定。
12世紀の中頃かそれ以前の地方作。材質はカヤの一木彫り出しで、螺髪の彫り出しなく平です。
まゆ、まぶたは彫り出した上に墨描き。髭髪(ひげがみ)は墨描き、眼球は胡粉(ごふん)、口唇は朱塗り。衣に襞(ひだ)の刻出しなく墨で線描き。
薬師堂は蓮正寺公園の南側にあって、蓮正寺(正面右手)のすぐ近くで、きれいに整備されています。散策ついでのお立ち寄りは如何でしょうか。
蓮正寺公園は自然が沢山残る整備された公園です。キジや野鳥も多く、自然探索には手頃な距離にあります。
薬師堂の祭りは毎年10月12日です。昔は田んぼや畑作業がひと息つく頃に家内安全・商売繁盛を願って祭事を行い、現在に引き継がれているものです。
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