web版 第20-2号(No55)

  古民家の再生   副町会長 飯島勝男

 40年前、多摩ニュータウン計画が始まってからの区画整理で、由木には古民家が段々となくなりこの頃では珍しくなりました。現存しているのは、東京都・文化財に指定されている鑓水の小泉屋敷と掘之内・寺沢に幾つか残っている程度です。
 50年前の下柚木ならかやぶき屋根の家があちこちに建っていて、良き時代の名残があったはずです。農家なら当時は養蚕をやっていたので中2階のかやぶき家屋が普通だったはず。その頃を懐かしみ、いまだに桑畑をお持ちの方も近所に居られます。初夏には山梨で養蚕をやって居られる方がいただきに見えるとか。

 かやぶき屋根の古い家には、いぶされた高い天井と太い梁・柱そして板の間と大きな囲炉裏。台所には土間とかまどがあって、昔をしのぶお年寄りには懐かしい風景でしょう。でも現代のしゃれたキッチンや電化生活を楽しむには一寸無理があります。
 数年前に発生した中越地震の復興工事へ携わる機会があって、その折に知り合った方から「古民家の再生作業」の電話がありました。そのお話しは地震で痛んだ「築数百年の老朽民家」を建替えようと、クレーンなどで解体を始めたとのことでした。私は建築業という職業柄、つい色々なことに思いを馳せ楽しんでしまいます。
 現代の快適な生活をエンジョイしながら古民家を再生する場合、古民家の構造・空間などの特徴や魅力をまず見極めます。それから「何を残し、何を生かすか」のポントに考えをめぐらせ、設計者として古民家の持つ趣きあるムードを維持するには、「あの設備とあの工法」を導入するのはどうか、自分ならああしてこうしようと考え始めると時間を忘れてしまいます。
 古木が持っている「素性・くせ・曲がり」などは、当時の大工が素材を見極めながら梁へ使っていますから、これ以上に変形しない優れた木材として今の家屋へも十分使えます。黒光りし縄目跡の残る煤竹は、玄関横へ垣根風にアレンジする。それらが多摩産の古材だったら、なお嬉しいかも知れません。古い建具も再塗装すれば随所に活かせます。このように古民家再利用の奥は深く、一度は体験してみたい仕事です。しかし古材には、たまに折れ釘などの金ものが潜んでいて、大事なノコやカンナを傷めることがあり、大工泣かせの材料でもあります。
 古材の良さを生かしながらポイントに配置し、加えて見た目にきれいな新建材を併用するのはコスト面で大切なことです。その結果、快適な空間が得られるならば大工冥利に尽きるでしょう。一寸贅沢するならムクの新旧材で造作すれば「木の持つぬくもり」を存分に味わえます。ご参考までに古民家を解体した古材を専門に扱っている店は、新潟や飛騨などの地方にあり見ているだけでも楽しいものです。

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