web版 第20-7号(No60)

  柏崎原発を見学して    東部地区環境市民会議 大島錬三

 八王子に住まう私たちが使用している電気が、どこの発電所から送られくるのかご存知だったでしょうか?。
 実は東電の柏崎刈羽原子力発電所(以下は柏崎原発と略称)から送られる電力を約20年前から使用しているのです。私は柏崎原発に直接お世話になっていたとは、恥ずかしながら知りませんでした。  
 もっとも、昨年7月16日に発生したマグニチュード6.8の「中越沖地震」の被害により、その後の点検・オーバーホール作業のため現在の柏崎原発は稼動全面ストップ中ですが・・・・。
   

    (c)原子力委員会
 今回、八王子市・エコ広場の呼びかけで、環境学習・リサイクル協議会や環境市民会議の皆さん30名と柏崎原発の見学(6月15・16日の一泊二日・参加費13,500円)へ参加したので、その概要と感想を紹介します。
 以前から柏崎原発の見学は行われていますが、発電稼動の通常時は所内のデモルームでの模型説明と屋外からのバス巡回見学だそうです。
 ところが今回は稼動ストップ中のため、作業員以外は立ち入れない原子炉格納容器(核燃料棒は引き上げ、別の場所で保管中)そばまでの立ち入り見学ができるとか、このような機会は将来ともまず無いからとこの研修企画へ応募しました。見学者資格審査は、テロ防止のため市・環境活動団体者が前提で、車の免許証提示などの身元確認もあり極めて厳重です。更に、この施設内特別見学コースは作業者用の狭い通路を2時間で早足移動するため、体力事前チェックもあって2名の方が不参加となりました。 
 1日目は、バス移動の途中で、長池公園の2倍位のスペースで自然環境活動を学習できる「柏崎・夢の森公園」(東電寄贈)へ立ち寄り、NPOにより運営されている環境学習の一部(紙あんどんつくり)を体験しました。
 柏崎港そばの宿(岬館)へは午後4時頃に到着し、隣接する岬の丘にある番神堂というお寺を拝観がてら散歩しました。昨年の地震でこのお寺の屋根瓦は全部落下し、境内の鐘楼堂が転げた(現在は再建済み)そうです。丘の下にはプレハブの罹災者仮設住宅の一部だそうですが20数棟立ち並んでいて居住中とか、被害の大きさをうかがえました。
 また、翌日のバス移動で、一般住宅の屋根を観察すると、どこの家の瓦屋根も葺き替えしたらしくピカピカでした。しかし震災後1年を経たせいか、街には傷跡がほとんど見当たりません。宿泊したホテルの女将に、地震の当館被害を聞いたところ、9階立てのこのホテルは岩盤まで掘り下げ、基礎くいを打ってあるため、大揺れし備品類の落下などがあったものの建物は無傷だったそうです。お隣の無人らしい木造家屋は復旧を諦めたように崩れた外壁のままでした。
 2日目はいよいよ原発の見学です。原発施設は柏崎市と刈羽町との境界の海岸に位置する広大な砂丘の松林にありましたが、原発建屋の大部分が地中にあるため、建物は巨きくは見えません。
 到着後、早速に身分証のチェックを経てから、原子力発電の仕組みと本日の巡回コース説明を受ました。次いで見学用のへルメット・防塵服・放射線被爆カウンターを着用し、原発建屋ごとの出入り個人カードを胸ポケットに収め、靴を履き替え、いよいよ見学に入りました。3号機建屋に隣接し、罹災時にボヤを出したところをTVで放映された変圧器(可燃性の変圧油が揺れでこぼれたところに、電気ショートの火花で発火/昔はPCB油のため不燃)ですと説明があった。TVでは、誰の姿も見えないと報道されたが、揺れが継続するので安全確保のため建屋の脇から監視していたそうです。でも所内に自衛ポンプ車がなく、また市の消防署への電話が中々繋がらず、結果として消火が遅れたとの新聞記事を読んだことを思い出しました。現在は自前の化学消防車を所有しているとか。
 原子力棟は分厚いコンクリートで5重に仕切られ、その内部は直径1〜2mの冷却管が無数?に配管され、核燃料を収納する原子炉格納容器以外は、冷却管と送水ポンプばかりで化学工場の感じでした。地震の揺れで、この冷却水を溜めるプールから超微量の放射線を含んだ冷却水の少量が溢れ(6・7号機において)、排水溝経由で屋外流出になったとも聞きました。
 限度を超えた地震が発生すると、核燃料棒は自動的に引き上げられ、稼動を自動停止し大事故を未然に防止しているそうです。原子力棟で発生した蒸気は、隣の発電棟へ送られタービンが回転・発電するわけですが、これらはすべて集中管理室で自動運転しているそうです。
 現在、原子炉を含めた全ての施設をメンテナンス中だそうで、ポンプや制御装置などの重要部分はメーカ(東芝と日立)へ送られオーバーホール→再試験の上、年内には戻って来るそうです。稼動はいつから再開ですかとの質問には、国の厳重な検査が終了し、合格後に稼動だそうで、早くても来年からとの回答でした。
 この原発(1〜7号機)が受けた地震の揺れレベルは、全ての方向(南北方向・東西方向・上下方向)に加わったガル値(揺れの大きさを示す加速度の単位)が、原子炉自動停止の設定値を1.1〜2倍を超えた記録値だそうです。一般的な建物や設備との比較では超安全な設計と思われます。
今回の見学の背景には、「開かれた情報公開」と「施設の高い安全性」を知っていただきたいとの東電希望があったものと思われます。建設土地の選定時点では、柏崎に大きな地震発生予測は極めて小さいからと踏み切ったわけですが、地震大国日本においては、絶対安全な土地神話はないようです。先月14日に起こった岩手・宮城内陸地震も1万6千年に1回の確立で発生と推計されていたそうです。日本中どこでも巨きな地震は必ずあるものと考え、国内稼働中原発16ケ所とこれから稼動する8ケ所は、柏崎原発被害を教訓に限りなくゼロに近い事故発生を目標に厳重な対策をお願いしたいものです。
 帰途のバス雑談の中で、柏崎原発の送電経路は、新榛名変電所から新秩父変電所を経て、新多摩変電所(八王子市上川町/今熊山北側)へ50万KVの高電圧で送られ、ここから東京西部地域と新宿・横浜・川崎方面へ供給されているとのこと。また、現在の我が家使用電力は、東京湾にある火力発電所と福島原発他が頑張り増発電に奮闘しているそうです。いろいろと勉強になった研修旅行でした。

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