web版 第20-11号(No64)

  大栗川に清流復活を  その3  東部地区環境市民会議 大島錬三

           大栗川に清流復活を  その3
           『さかなの住める川への道』

 大栗川の支流を含めた流域関係市は、八王子市・日野市・多摩市の3市です。大栗川流域の人口について調べますと、現在の流域人口はおおよそ22万人。昭和38年頃の流域人口は由木村6200人、多摩村9000人、日野市百草辺りの人口600人を合わせ、合計16000人だったと思われます。なんと14倍の人口増加ですから、その排水処置には大栗川の大改修が必要だったのです。
 多摩ニュータウン開発前の流域は、丘陵の雑木林と田畑がほとんどなため、大雨が降っても地面が吸い込んでくれました。吸い込まれた雨は、里山の谷戸から湧水となって大栗川へ絶え間なく注がれました。緑に囲まれた谷戸の湧水が源となった小川には、適度の微生物が住み水を自然浄化していました。小川から注がれた大栗川には、魚類などの水生生物が住み易い淵や瀬があり、岸辺の草むらが小魚や昆虫を育てていました。当時は水洗トイレも普及しておらず、川は流れるほどに浄化が進み、ウナギやアユが棲んでいても不思議はありませんでした。
 昭和43年頃からニュータウン計画による都市化が進み、雑木林や田畑の6割前後が宅地と道路へ変わりました。雨水はコンクリートと屋根から排水溝を経て大栗川へ直接に流れ込みます。反比例して地面に吸い込まれる雨水が減少し湧水も半減しました。雨が降るたび、一挙に川へ流れ込めば堤防を越え洪水となりますため、治水対策には河川流量(川幅・深さ)を増加させざるを得なくなります。
 大栗川も莫大な工費(数百億円?)を投じた結果、今のところ洪水の発生がなく巨大排水溝としての一面的な治水効果を得ています。しかし住民に安らぎを与えるとか、地域文化・景観を残してくれるなどの「川が本来有する自然的な良さ」はかなり少なくなりました。 
 何百、何千年と続いた大栗川を都市化工事によって無機質なものへ変えましたが、この無機質な河川を子孫へ引き継ぐことには心が痛みます。しかし必要な排水機能を持たせつつ、親しみを持てる大栗川へ変えることは可能と思われます。また、莫大な再改修費を投じ「大栗川に清流復活」という進め方は、このような時節柄では有り得ないお話しです。
 では、どうするか。まず、水生生物が豊富な川の条件を調べてみることです。多分、この辺から「解の糸口」がつかめると思います。後は、5W1H的に「誰が・いつ頃・どこで・どのような方法で・・・・など」具体的に進めことになるでしょう。最も重要なことは、地域住民の要望が沢山有るか否かで行政施策が決まるようです。
 そこで「大栗川にさかなの住める清流復活の必要な条件」を挙げますと
@冬などの渇水期でも川に流れがあること 降雨量の少ない12月や2月でも、湧水効果で川が枯れていなかった (下水道が完備していない昨年までは、生活水の流入で枯れていないかと心配していたが大丈夫と確認できた)
A汚水が流入しないこと(下水道の完備でほぼ解決した)
B水流に強い植物を植える(流れを大きく阻害しない程度に蛇かごや中洲を 作って水生生物の棲みかを作る)
C段差のあるところへ魚道を設置(身近な事例では寺沢川において、工事段階で小さくした段差群が効を奏しハヤが毎年群生している)
Dワンドを数箇所作って水生生物を繁殖させる(ワンドとは、川の本流と繋がったよどみや入り江のことで水生生 物が産卵→発育する場所をいいます)の5項目です。
 また、コイを故意に放流することは、コイは雑食性で小魚を食べるため好ましくないと云われています。自然に任せるのがベストとのことでした。
 お金をかけた自然再生方法としては、両側の堰堤を植物が自生しやすい多孔質ブロック化(例えば富士山の溶岩のような石)するなどの方法もあります。住民が一致協力すればホタルの自生も夢ではありません。
(東部環境市民会議大島記)

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