web版 第20-12号(No65)

  大栗川に清流復活を

           大栗川に清流復活を  その4
            『大栗川と湧水の関係』

 今年の7月25日(金)午後8時からのNHK・TV「ご近所の底力」を見られましたか?。近所の小川にホタルを自生させ、昔の良き想い出を子孫の代へ残して上げようという試みの紹介でした。
 この試みをやって見ようと検討中の「鑓水町会の皆さんが大勢出演される」との情報がありました。由木中央市民センター祭りや由木地区運動会で時おり見かける木下登町会長や青木利勝さんの出演もあり興味深く見ることができました。
 3面張りの小川や小学校のビオトープでホタルの自生に成功された幾つかの事例紹介がありました。ホタルの幼虫を連続4年間放流してもホタルが飛ばず、諦めかけた4年目にやっと3匹飛んだそうで、群生や乱舞には15年を要したそうです。
 一旦失った環境を取り戻すには、時間をかけながら「桃栗三年柿八年」以上の熱心さを継続しなければいけないようです。
 ホタルの自生に湧水はかかせませんが、多自然型の河川(川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な景観を保全された状態をいう)にも湧水はかかせない大切な要素です。
川の源流は、大きな川やその支流をさかのぼっていくと湖沼か湧水のいずれかがです。多摩川の水源は、奥多摩の奥にある雲取山の中腹ですが、谷川の始まりは地面から浸み出た小さな湧水です。同じように大栗川に流れ込む支流の源流をたどると、長池であったり柳沢の池などで、これら池の底からは地下水が湧きで出ています。
多摩ニュータウン開発前の大栗川流域では、井戸を掘ると自噴したことも度々でした。その良質で豊富な井水は、東中野に日本酒の醸造会社を作ったり、吉田観賞魚では幾つもの池でコイや金魚を沢山飼育していました。しかし、これらの事業も宅地開発が進むにつれ廃業せざるを得なくなりました。湧水も同じ様に、丘陵の開発や森林の減少と共に目だって少なくなりました。ご近所でいつでも湧水にお目にかかれる場所は、下柚木1班の伊藤水道店付近やめぐみ野団地の池、由木保育園の東向い40m当りの沢などです。
なお、現在の井水汲み上げは地盤沈下防止を目的に原則禁止、利用には届け出と許可が必要です。
 八王子市では市内全域を下水道完備を目標に進め道路下の本管工事はほぼ完了です。下柚木は多摩ニュータウン開発のおかげでかなり早めの導入でした。鑓水や中山も平成19年に完了しています。ですから、大栗川へ流れ込む水はほとんどが雨水・湧水のはずです。地面に浸み込んだ雨水は、時間を経てその一部が湧水となって谷戸から流れで出ます。幸い、大栗川は渇水期でも流れが止っていません。現在残っている丘陵の緑が支えているからです。
さて、ついでに湧水の効用について勉強しておきましょう。
最近、『湧水の大切さが見直しされている』ことをご存知でした?。
(1)湧水と生活の係わり
 多摩丘陵における大昔の生活を推測すると、丘陵の斜面に多くの人々が住んでいました。その証拠として丘陵斜面から遺跡(石器や土器など)が沢山発掘されています。丘陵の斜面の途中には湧水やその小さな流れがあって、生活に重要な役割をしていたのでしょう。
 40年位の前までは谷戸の奥にある湧水を使い田んぼや畑で農作物を作り生活していました。また、住居に湧水のある家では水道代わりに重宝していました。 
 由木地区の鑓水という地名の由来は、竹の筒を湧水のしみでる崖の中腹に差し込み水道代りにしていたことから、その呼び名が付いたそうです。実物の「やり水」が絹の道資料館庭園にあります。
今では丘陵を住宅地として開発したため、年間を通して湧水する場所はとても少なくなりました。私たちの日常生活では近所の湧水を使わなくとも生活には困りませんが、環境問題を調べて行くうち「湧水の大切さ」が分かってきました。
(2)湧水のもたらす効用
湧水を保全することは、その清らかな流れを提供してくれるだけでなく、@地下水や河川水量の維持、A下水道への雨水の流入軽減による下水道施設の小規模化、B雨水の河川への短時間流入による浸水被害の抑制、Cヒートアイランド現象の抑止などがあり、湧水の保全には行政だけでなく市民の積極的な保全活動も重要です。
(3)東京都の湧水地保全と八王子市 
   の補助金制度 
湧水を保全するため、東京都では「東京都湧水等の保護と回復に関する指針」を策定し、区市町村と協力しながら湧水の保全と回復を図ることを推進しています。
八王子市では、雨水の浸透施設(浸透ます・浸透管)及び雨水貯留槽の設置を推進しており補助金制度があります。補助金申請は水循環室水行政担当(市役所本庁舎6階)となります。お問い合わせは、042-620-7291(直通)へお電話願います。なお、雨水貯留槽の実物展示は、あったかホール1階(北野清掃所)にあります。
 (東部環境市民会議大島記)

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