web版 第21-01号(No66)

  大栗川に清流復活を

           大栗川に清流復活を  その5
             『大栗川に棲む魚類』

 多摩川中流域には、川の環境を守る会が市ごとに沢山あります。府中市青少年委員会では府中市是政緑地周辺で子どもたちと「ガサガサや古式漁法体験など」を楽しみながら自然を学び、日野市では「浅川勉強会」があり河川改修に際して表土・野草の保護復元や川周辺の生物観察を行っています。八王子市では「八王子浅川こどもの水辺協議会」の水棲生物や野鳥観察、川遊び、更には八王子・日野カワセミの会など数十団体が活動しています。
 また、「八王子に清流を戻す市民の会」では、浅川やその支流の環境を守ろうと熱心に活動しています。大栗川もこの会の一応の活動範囲ですが、残念ながら由木地区の会員はいないようです。会の友人に聞いた話しですが、湯殿川の上流・下流に川魚は沢山いるが、中流には殆んどいないとか。そこで中流へ魚影を取り戻す試みを検討中だそうです。
 一方、多摩市住民(代表:相田さん)の方々が「よみがえれ、大栗川を楽しむ会」という団体を作り下流域の保全活動を行っています。NETで「大栗川」のキーワードですぐ見つかり、毎月の活動をカラー写真で楽しく見られます。この会の目的は、楽しみながら川の環境を守り、川の四季を観察しようでした。隔月に川清掃&観察を合同で行いながら、夏には「水辺の祭り」でいかだへ子どもたちを乗せて川下りなどを楽しむとか、多いときには百名位の参加者もあるようです。
 確かこの会の皆さんだったと思いますが、数年前にパルテノン多摩で大栗川に棲む魚類や鳥などの環境パネル展をされ興味深く拝見したことを覚えております。多摩市の支援もあるようです。その時に紹介のあった魚類は多摩川中流に棲む大部分の種類が確認されていて、例えばコイ、アブラハヤ、ギンブナ、モツゴ、ドジョウ、メダカなど20種位の確認があったとパネルでの紹介がありました。
 昨年9月末の大栗川探索の折でしたが多摩川との合流点より1kmの上流には、如何にも小魚が棲みそうな野草の生い茂る岸辺に小さな分岐水路が幾つかあって、そこにハグロトンボが群れ、カワセミの姿も見えました。
            

これなら多摩川中流域のほとんどの魚類がいると説明されても納得です。昨年12月、会の川清掃のとき、新堂橋(宝蔵橋の200m下流)でモロコ(またはモツゴ)2匹がごみと一緒に偶然捕れたそうです。
 しかし、野猿街道の宝蔵橋より上流約500mの所に、最初の堰(高さ約0.5m)があり魚類の遡上を阻んでいます。多分、魚類はいないだろうと思いつつも、コサギ(白鷺の一種で魚・カエル・ザリガニなどを捕食)が飛来することを考えると少しは居るのかなと・・・。
 大栗川の谷戸には別所の長池や下柚木の柳沢の池、薬科大の池などがあり、ここから流れ出た小川に小魚が棲んでいます。堀の内のサンワの約200m上流には、川の中に人口の草むらがあってハヤらしい魚影が見えます。また、薬科大の池から流れ出る寺沢川の上流には、アブラハヤと思われる100匹位の魚影が見え楽しいです。昨年の秋に大栗川の堀の内・番場橋付近でアブラハヤとドジョウが数匹捕れましたが、これは谷戸の小川から流れ出たものかと思われます。湧水が出る谷戸の奥地、例えば堀の内・交番の裏手や上柚木・神明神社の付近には、サワガニやトウキョウサンショウウオが生息しています。
 明治大学農学部の平成14年・研究報告「多摩丘陵の多摩川流域における谷戸の魚類相の現状報告」(25箇所)によりますと、ホトケドジョウ(絶滅危惧IB類)、ドジョウ、モツゴ、アブラハヤ、ギンブナ、トウヨシノボリなどが採取されたとの報告があります。多分、大栗川の改修前には由木の里山にもこの種の魚類が生息していただろうと思います。
 大栗川は、先年の改修工事で川底をかなり深く掘り下げたため、谷戸の小川とは一方通行です。近所の例では、由木事務所の東側を流れるコンクリート三面張りの排水路は道路より5m位深く、所々に大きな段差を設けています。ここ以外のどこの排水路にも同じように大きな段差があります。人が落ちたら危険なため金網で囲うのは当然でしょうが、これでは親しみようもありません。
 一般的な話しですが、魚影の濃い川には「魚が隠れ易い部分的な深みや岸辺には草やごろ石」があります。底の浅い流ればかりでは、魚が鳥などの外敵から身を守ったり、繁殖のための産卵・子育ては難しいでしょう。大栗川の上中流部を観察すると魚が身を隠すもの陰や深みのある流れが少ないですね。                   
 大栗川では、カルガモの姿が一年中どこでも見られます。
             

カルガモは留鳥といって渡り鳥ではなく、餌は水藻を主にたべながら、タニシなどの貝類も食べる雑食の鳥だそうです。もしや魚の天敵かと思っていたら誤解でした。将来、魚影が濃くなったらとき、今でも時折見かけるシラサギが天敵と思います。しかし、弱肉強食の「自然の摂理」を防ぐことは出来ませんので、魚類が容易に自然繁殖できるような川の環境作りが大切となります。

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高島屋

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発行 下柚木町会  編集 下柚木町会広報部

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