web版 第21-03号(No68)

  大栗川に清流復活を

          大栗川に清流復活を  その7(最終回)
           『大栗川へ魚類復活の道は? 』

 堀之内の大栗川ほとりに住む知人の夢は、アユの棲める大栗川復活だそうです。私も大いに共感を覚えますがアユは水ゴケを主食としますからかなり難しい感じです。まずは、ハヤやメダカなどの小魚が群れをなして泳ぐ姿を見たいものです。
 大栗川と同じようなコンクリート三面張りの河川が近くにないかと市の河川水質担当者に聞いてみました。ズバリ参考となる河川は八王子にないそうですが、やや似た感じの川として谷地川があるそうです。この川は滝山街道に沿って流れ、16号線・多摩大橋のやや下流で多摩川に注ぐ三面張りの川です。水質は大栗川と同じように、コンクリートに生えたコケの作用でpH値と溶存酸素値が高いのです。魚類情報として、最近は水質が回復しオイカワ・カジカ・アユが生息しているとあります。そういえば、昨年9月に小宮小学校・4年生たちは川の環境学習のとき、多摩川の岸辺で捕ったハヤ・モッコ・ドジョウ・カジカを楽しそうに観察していました。この付近の浅瀬には沢山の稚魚が群れをなして泳ぎ、私の幼き頃の楽しかった川遊びと重なり、この多摩川の清流回復には感動しました。
 いろいろと調べて行くうちに、「浅川流域河川整備計画」がありました。平成18年6月の計画では、湯殿川を含む13河川の浅川各支流と多摩川へ直接に注ぐ程久保川・谷地川の計15河川が整備対象です。この計画は、近い将来の「洪水への治水対策や自然環境(植物・鳥・魚類の回復も含む)の整備・保全による親水向上」を目的に構想を作ったもので、まだ予算は付いておりません。
 このような構想に、なぜ大栗川が加わっていないかが不思議で、都の河川関係担当へ聞いてみました。担当係りの話では、大栗川の治水対策や川べりの散策路整備は一応終わっているそうです。これからの時代は、環境改善による自然環境の向上が必要と思われますが、予算の不足から実施はまだまだ先とのことでした。大栗川をニュータウン計画(昭和40年代)の一端として大改修したときの河川法は「治水」が目的で、現在は「治水と環境保全」に改善されています。
 住民が河川への要望を伝える手段のひとつに、都と市民から構成される「浅川流域委員会」があります。このような住民の声を寄せられる委員会に由木の方々が参加していないことは大変残念ですね。委員は2年交代で広報はちおうじで来年に公募があるそうです。
さて、ここで魚類復活への道をもう一度整理し、今回のレポートを終了しようと思います。
まず魚類復活への最大の前提条件としては、大栗川の「排水機能を損なわない」ことです。河川改修前の流域人口1万6千人が現在では22万人の排水受け皿として任務を果たしながら、大雨時には洪水とならないように流れを確保しなければなりません。
また、魚類が棲めるように川の流れ等を改善したからと言って、定着できるとは限りません。ずばり模倣できる河川もなさそうなので、知恵と工夫の執念を重ねなくては実現できない感じです。
そのためには、都の河川担当者と自然環境保全・専門家の指導を得ながら計画を作る必要があります。
素人的な発想かも知れませんが、幾つかの場所に実験箇所を設け、まず試行してみる。その主な要件を記しますと、
@魚類が棲める深い流れを作る。
上・中流域では、雨が数日降らないと川の深さは20cm程度となる。また、大雨時に運ばれた土砂が10〜30cmも堆積し川幅半分位を占める場所が多くあり、例えば上柚木・境橋付近や由木事務所付近などは春・夏に雑草が繁茂しています。この部分の流れを高さ30cm位で堰き止めれば、50cm程度の深い流れが確保できます。同時に1m位の堰下の広い部分にも深みができます。但し、大雨時に魚類が流されないような隠れ場所の工夫が必要となります。
すでにこの状態に近い場所は、大田川との合流点と堀之内・番場橋(ハヤやドジョウが若干生息)の近くにあります。
Aワンドを作る。
ワンドとは水が増えたときには本流とつながってしまう池のような部分をいい、魚や他の水生生物繁殖には格好な場所です。このワンドは、堆積した土砂の一部分を掘って作れば可能です。
B植物を沢山植える。
魚の餌さとなる虫が棲み易いように背の高い植物を選択し植える。堰の下辺りには葦などが好ましいが、大雨時の急流に耐える定着の工夫が要ります。
C堰へ魚道を作る。
 最初の堰は野猿街道・宝蔵橋の上流にありますが、ここの二つの堰に小さな魚道を作り魚類の遡上有無をチェックする。
D魚類の放流をする。
 大栗川が多摩川と合流する周辺には、沢山生息しておりこれを捕獲し定期補充する。この作業は京浜河川事務所(稲城市大丸)へ相談すれば道が開けるはずです。
E河川敷にホタルを生育する。
 川の流れと堤防の間に比較的広い河川敷があります。例えば、番場橋の近くや他の所にもあります。ここにビオトープを作りホタルの飼育を試みる。水は柳澤の池のような湧水池から引き込むことが望ましい。魚類と直接関連しませんが、住民の川へ関心を高める手段の一つとなります。
F魚類復活クラブの結成
 活動の推進は、大栗川周辺から結成された団体で行う。また、多摩地区の各河川団体や公共部門との連携も必要です。さらには、大栗川の自然環境改良・工事予算の申請→獲得も重要な作業となります。

 以上、7回のシリーズのご愛読をありがとうございました。今回でこの大栗川シリーズを終えますが、まずは調べることから始めました。今後は実行への道筋を関係者へ相談したり思案したいと考えます。
 終り!(東部地区環境市民会議 大島)

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