web版 第22-2号(No79)

  下柚木の生活事情・今昔 その2

            下柚木の生活事情・今昔 その2 
             「八王子市の気象の変化傾向」

 八王子の夏は暑いそうですね?と都内にお住まいの方から聞かれることがあります。そのときは『日中は暑い日も有りますが、朝は都心より5℃ぐらい低く凌ぎいいですよ』と答えることにしている。しかし最近の八王子はサクラの開花が早くなったり夏にはスコールのような豪雨が降ったりして、何か昔とくらべて気象が変わっているような感じを受けますね。
 そこで八王子・気象の今昔について調べてみました。気温・降霜・風速などの気象観測は八王子市役所(本庁/元本郷町)で行われていますが、降雨の無人観測所は8箇所(本庁、高尾山口、上恩方、戸吹、南大沢など)にあり、そのデータはお天気相談所(市・生活安全部)から報告があります。市ホームページからは、毎時・毎日の観測結果や月・年などの過去の集計データもNET検索できます。また特定の集計データはお天気相談所から印刷物でももらえます。
 今回、NETデータを集計してみたのが、表1の「八王子市における5年間ごとの気象最大値」です。この表の見方は、例えば年代のS(昭和)35〜39年の欄では、5年間のもっとも高かったり低かった気温や降雨・積雪を示してあります。昭和35年と言えば今から50年前のことで、その頃の下柚木の人口は800人位で周囲は山林・畑・田んぼの里山だったときからの記録です。
    

 八王子における気温39.9℃(平成9年7月5日)を日本で一番の暑さとか言われていましたが、平成19年8月16日に埼玉県熊谷市が40.9℃を記録し、現在は日本一暑い日のあった地域は『熊谷市』となっています。これはフェーン現象(暑い空気が滞留する)から生じた影響だそうで、未公認では中央気象台委託観測所が大正12年8月に徳島県撫養町(現・鳴門市)が42.5℃を記録していました。
 八王子の日中は確かに暑いですが、木陰に入れば涼しいし、朝の気温は都心より5度位低く暮らしやすいです。これにくらべ都心はコンクリートジャングルのため、暖まったコンクリートの放熱とエアコンの排気が滞留し夏は毎夜が熱帯夜ですよね。また、京都や奈良の夕方は風がないため超むし暑く感じられ、これらとくらべれば由木の夏はまだ過ごしやすい方の土地と思いますが如何でしょうか。いつも朝の気温が都心より5度低いわけは、多摩の丘陵に緑が沢山あるお蔭です。この大切な雑木林や畑を失くさずに子孫の世代へ残したいものですね。もし近場で手軽に避暑気分を喫したいなら、裏高尾・南浅川上流の木立へ入ると昼でも5℃以上低い気温が体を包み軽井沢並みの涼しさが得られます。
 昭和45年、下柚木に住み始めた頃、朝の寒さの厳しさにはびっくりしました。その頃の早朝の寒さはマイナス7〜10℃で、プレハブの我が家の室内は0℃に近かった日もあったと記憶しています。
外に置いた水槽のガラスが氷結で割れたこともありました。昭和35年1月25日・市内早朝のマイナス12℃は、昨年の長野県諏訪市の最低気温マイナス10・5℃より低い気温です。もっとも日中を入れた平均気温では諏訪市に敵わないでしょう。 
 しかし昭和35年頃の寒さも、多摩ニュータウン開発が進んだ昭和60年あたりから和らぎ始め、昨年の最低気温はマイナス5・4℃となっています。これは近隣の人口増加ばかりでなく、地球温暖化の影響も大きいと考えられます。
 表1にはない集計ですが市内・5年間の年間平均気温では、50年前が14.2℃、20年前が14.8℃、ここ5年間は15・1℃と0・9℃も暖かくなっていました。
 その証拠を現わしているのが春の花々の開花で、例えばスイセン、ウメ、サクラなどが随分早くなりました。八王子のソメイヨシノの開花日が、昭和59年(26年前)は4月14日、最も早かったのが平成14年で3月15日でした。近頃ではサクラのお花見が3月下旬となって、「サクラの咲く頃一年生」の入学式風景は昔の話となりそうです。
 昨年、近所の物知りの方から「しのつく雨」とはどんな雨を言うのでしょうか?と聞かれました。答えは、雨の降る様子が「篠竹を束ねて突きおろす」ように集中して降るから「篠突く雨」ということでした。表1の最大日降水量(一日に雨が降った量が最も多かった日)は、昔と今とは大きく変わっていません。しかし最近の雨の特徴は、沢山降る年と降らない年の年間降雨量差が拡大したり、ゲリラ豪雨(局地的集中豪雨)もあります。
 平成20年8月29日未明に起きた八王子市川町の民間開発の住宅が隣接する斜面からの土砂崩れで家屋倒壊(全壊1棟・一部損傷4棟)は記憶に新しいことです。このときに降った雨の記録は、28日/高尾山口213ミリ、南大沢17ミリで、29日/高尾山口68ミリ、南大沢108ミリと高尾地区に集中していました。その結果、高尾山口から多摩御陵・浅川にかけた河川が氾濫し、床上浸水36棟(由木1棟)、床下浸水151棟(由木13棟)が被害を被りました。洪水は一日の降雨量と共に短時間に集中して降る量が大きく影響します。住い付近の川(用水路も含む)や斜面地によって異なると思いますが、短時間に降り始めた雨が50ミリを超えたあたりから危険が迫るようです。テレビやラジオの情報も大切ですが、自宅でも降雨量計測をするのは如何。庭や玄関先にお酒の空ワンカップをいつも置き、ときどき覗けばおおよその降雨量は判ります。ゲリラ豪雨とは、狭い地域で1時間100ミリ以上の降雨を言いますが、もし平成17年9月5日の杉並ゲリラ豪雨(240ミリ/日)が八王子に発生すれば浅川は氾濫するだろうと聞いています。東京都の治水整備(排水能力)の降雨量目安は50ミリ/時間だそうですから、大栗川やプール道路(ガード下)は要注意個所です。
 表1の最深積雪量は昭和43年2月16日の44cmが最大ですが、ここ10年ほどは歩行困難なほどの降雪はありません。しかし年を取るほどに雪かきは大変で、先日降った10cmの雪でも「いつ頃まで自分が出来るかなー」と思いました。 
雪国に住む夫婦2人暮らしの方から聞いた話しですが、年を取ると雪下ろしが大変なので、定年になったら一戸建て住宅から駅前のマンションへ移る方が多いとか。買い物や医療の便利さも入れればなるほどかも知れません。
 今回の市内・気象調べで分ったことは、『冬季における朝の気温は、下柚木にも地球温暖化と近郊の住宅過密化の影響がはっきり出ている』ことでした。単純計算ですが、後50年も経つと下柚木には霜が降りないかも知れませんね。
 (広報部)

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