web版 第22-6号(No83)

  下柚木の生活事情・今昔 その4  「ホタル」

           下柚木の生活事情・今昔 その4
                 「ホタル」


 初夏の風物詩にはホタルがありますね。

 ほう ほう ほたる こい
 あっちのみずは にがいぞ  こっちのみずは あまいぞ
 ほう ほう ほたる こい ♪


このわらべ唄は幼い頃よく歌いました。 
 50年位前までの初夏の田んぼには、沢山のホタルが群れて飛びかい、目の前の草むらにとまったホタルを子どもたちが紙袋に入れて持ち帰ったものです。蚊帳に放し電灯を消すとホタルの発光とその点滅がなんとなく神秘的に見えたものでした。
 昔の下柚木には、殿ケ谷戸や由木中学校 ・消防分署前などに沢山の田んぼがあったので、ホタルもいっぱい飛びかっていたことでしょう。しかし畑や田んぼに農薬を使うようになってから次第にホタルは姿を消してしまいました。
 由木のホタルは絶えたのかと心配していたら数か所の田んぼや沢に、まだ生き残りが頑張っていました。近くでは、寺沢の宮嶽谷戸(多摩テック下)と田の入り谷戸(カタクリの家の西側約300m)、堀之内寺沢里山公園の田んぼには毎年数十匹程度が飛んでいるそうです。10年位前までは、由木めぐみ野公園と東芝団地裏手の寺沢川上流には若干生き残っていたとの話を聞きましたが、今では住んでいないようです。
 由木の自然環境に詳しい方の話では、多摩境駅に近い小山内裏公園や長池公園の田んぼには住んでいるとか。では、ホタルの観賞をと考えたくなりますが暗い田んぼ道を個人で歩くには勇気が要りますよね。

 そこでホタル観察会の情報を少し!
 堀之内寺沢里山公園では、6月末にアドプトメンバー(会長は前堀之内町会長・谷合さん)で行うそうです。毎週土曜日午前中は公園管理棟へ会員が集まりボランティア活動していますから、お聞きすれば判ります。公園の奥に田んぼとビオトープがあって、この春にのぞいたらホタルの餌となるカワニナが僅かながら確認できました。
 「池の沢に蛍を増やす会と西南部地区環境市民会議」が主催する「蛍観察会」が次の内容で無料開催されています。
 ・日時:6月27日(日)午後6時〜  8時半(現地自由解散)
 ・集合:館町 殿入中央公園内児童公園
 ・問合せ先:電話661-7197 谷村伸一氏
 もっとも確実に観られるのは「夕やけ小やけふれあいの里/電話652-3072」で6月16日〜26日まで「ホタルの夕べ」を開催しています。
その他、創価大学などでも水環境研究の一端として、校内水路でホタル観察会(要申し込み)を行っています。

 日本に住むホタルの種類は約40種と言われ、代表的なものは静岡県の富士川と新潟県の糸井川を結ぶ境界線の東側に住むゲンジ(源氏)ボタルと西側に住むヘイケ(平家)ボタルがあります。この2種は発光点滅回数が異なり、ゲンジボタルは約4秒に1回、ヘイケボタルは約2秒に1回です。
 この2種類の境界辺りに住むホタルの点滅は約3秒に1回なので「混血種」と言われています。自然界の混血は自然現象としてやむを得ませんが、故意にゲンジボタルの住む地域にヘイケボタルを放すのは良くありません。土地固有の品種が失われます。特にヘイケボタルは繁殖力が強く、ゲンジボタルは弱いため、混ぜるとヘイケボタル系が増加するそうです。
 ときどきポスターで料亭などが「ホタルの夕べ」をやっています。あれは国内産ホタルではなく、アジア諸国や南米で羽化したホタルを捕らえ、冷蔵空輸したものを庭園へ放す前に仮死から戻し放っているとか。料亭のホタル観賞はロマンチックかも知れませんが、万一生き残りが住み付くと混血ボタルが増殖しかねず、お金儲けが目的の自然破壊イベントはどうなのでしょうか。

 八王子市内には23ヶ所のホタルが棲む里があるそうで、それぞれのホタルの遺伝子は異なっており、この貴重な品種を故意に混ぜない方がいいと専門家は言います。
 ホタルはオスが活発で5m位の高さまで飛び少し移動するそうです。メスは草むらなどに隠れあまり活発的ではないとか。ホタルの婚活はオスが専門?みたいです。いずれにしてもトンボやバッタのように簡単に遠くへ移動しないようです。

 平成20年7月のNHK番組「難問解決!ご近所の底力」に放送された鑓水のホタル復活大作戦をご覧になられました?。あれは当時の鑓水町会長木下さんをはじめとする地域のみなさんが、幼い頃に沢山住んでいたホタルを懐かしみ「復活させ子や孫に見せたい」という思いが出発点でした。
 今年4月に機会があって木下さんからその後日談をお聞きしたので次に紹介します。
 鑓水公民館の前を通る大栗川支流は三面コンクリート護岸になっていますが、最初はこの川幅2mの小川に再生をと考え市へ要望書を提出しましたが、ホタルが自生できるように土(寄せ洲)を入れたり護岸をいじるのは、大雨時に氾濫する可能性があるため、回答は残念ながらノウでした。
 そこでご近所のみなさんと一緒に考え出したのはビオトープ(生物群が棲む空間)案でした。これを絹の道資料館の西側にある休耕田跡に作ろうと決め行動に入りましたが資金が無いため、地域の仲間がボランティアで土方作業をやるしかありません。
 取り組むための討論には、NHK推薦の大場信義講師を招へいし何度も検討の結果、既存の河川利用と近くの沢に住む由木っこホタルの移住と決め、昨春からビオトープ作りに着手しました。建材は、向かいの山林から切り出した木材・竹材を運び、約350坪位の湿地も掘り起こしました。設計では、小川の水を引き込み向かいの丘から湧水も誘導することにしました。
 ところが、この小川の水質はあまり良くなく、その原因は上流にある学校・病院・老人福祉施設と民家の下水道化が進んでいないからでした。現在はこれらの企業体が快く協力し下水道化を完了したものの、民家の多くはこれからだそうです。ホタルは湧水だけのきれいな水では、餌となるカワニナ(成貝は殻長30ミリ・殻径12ミリほどで、全体的に丸みを帯びた円錐形の巻貝)は育ちません。枯葉などを微生物が分解し、これを食べる小さな虫やメダカなどが共生する程度の水質が望ましいのです。また家庭から流れる雑排水には洗剤などを含むためカワニナが育ちません。この浄化対策には、ビオトープの最上部に池(硬質な湧水を軟水化させる)、中央部にヨシ(浄化能力が高い)を沢山植え、ホタルの棲む水路は最後部に設置する作戦とか。
 なお計画に先だって、休耕田を所有する西部鉄道と八王子市が借地契約を結び、これを鑓水地区が借り受けたそうです。更に由木地区町会自冶会連合と協議しながら東京都の補助金を申請し、これをもって「ホタルの里」再生プロジェクトが本格的にスタートするそうです。ホタルの自生は早くて5年、普通10年位はかかるとの話でした。移住させる親ホタルは近くの沢から運び、エサのカワニナは由木西小学校の児童たちが校内で飼い殖やしているそうです。
「ホタルの里復活」を期待しましょう!   

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発行 下柚木町会  編集 下柚木町会広報部

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