web版 第23-12号(No101)

   古い由木への散歩道

            古い由木への散歩道 その14
                「御殿山窯跡群」 
     
 前月は御殿峠(杉山峠)にまつわるお話をいたしましたが、その中の瓦等古代焼き物窯跡の紹介不足が気になっていました。
photo  先日、八王子市郷土資料館に立寄ったとき、南多摩窯跡発掘品(写真1)の水がめや皿類を見学していた所、御殿山の窯跡からの発掘品であることが判りました。遺跡に関心の深い方なら常識かも知れませんが、ここ数年来の「自称・由木の歴史愛好家」の私には新発見で嬉しかった。
  南多摩窯跡群をキーワードに調べ出すと遺跡発掘の報告書数点がすぐ見つかりました。南多摩窯跡群とは、多摩川中流の右岸にある稲城・多摩・日野・町田・八王子(東西17km、南北9km)にわたって存在する古代の土器・瓦の窯跡を指すそうです。 
  その中でも御殿山窯跡は最大規模で、次いで「大丸窯跡群/川崎街道・信号大丸の付近」があります。由木近くの小さな窯跡には、百草・和田1号、中和田、落合にも窯跡があるが、まだ調査中の所もあります。
  御殿山窯跡は一部が鑓水地区にあって、多くは宇津貫(うつぬき)町地区にありました。 
 これらの場所で生産されたものは須恵器と呼ばれる陶質の土器で、今から千年以上前の古墳時代中期から奈良・平安時代に、渡来人が朝鮮半島の技術を持ち込んだものです。窯は穴窯で、写真2のように丘陵などの斜面を利用した半地下式の登り窯のため温度が高く焼成でき硬質となりました。
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  須恵器は北海道を除く各所で生産していますが釉薬はかけられていません。なおロクロは使っていました。須恵器と陶器の違いは、陶器には意図的に釉薬をかけられていますが、須恵器には釉薬がかかっていません。但し、灰から生ずる自然釉が付いている場合はあります。この須恵器の製法を原型として、粘土を厳選し製作技法を改善したものが、現在の岡山県伝統品である「釉薬をかけない備前焼き」だとか。
  御殿山に窯跡があったことは、昔から分かっていたようですが、本格的に発掘調査されたのは、都市基盤整備公団・ニュータウン建設の一部として、「八王子市・みなみ野シティ開発」をしたときです。土地開発に先立ち、平成2年から発掘調査が開始され、平成11年以後から出土遺物品の整理に入り、平成13年に詳しい報告がされました。
  御殿山窯跡群は、群と表現されるようにAからDブロックに延べ73箇所の窯跡が丘陵で確認されました。窯数が多いのは燃料となる木材の運搬が遠くなると、次ぎの窯を近くに造り移動したからと推測されます。粘土も窯のすぐそばで掘られ、その発掘跡が一緒に残っています。更にロクロを廻し乾燥させた工房跡も窯跡近くから発掘されています。
  御殿山窯で作くられたものは、瓦とかめ・つき・水差し・椀・皿・すずりなどで、当時の煮炊き用の釜には軟質の土師器(はじき)が使われていたようです。
  須恵器は高級な器物だったため、当初は祭祀用や古墳の副葬用に用いられ、次いで大きく丈夫なかめ類が穀物の貯蔵用に使われ、その後に椀・皿など庶民が使う食事用へ普及したと考えられます。したがって主な供給先の順はお寺、役所、農家と推測されます。
  瓦については、武蔵国分寺に納めていたのかと勝手に憶測していましたが、発掘調査団の報告によると、武蔵国分寺造営で主に使われたのは運搬労力が少なくて済む近場の大丸窯からでした。これは瓦の組成分析から判るそうで、御殿山窯の瓦は一部を武蔵国分寺へ納め、その多くは近くに窯場を持たない「相模国分寺造営」で使用され、同じ理由から貯蔵用のかめや食膳用の皿類も相模地方で使用されました。と言うことは、御殿山に幾筋も煙をたなびかせた窯場は、近郷で有名な須恵器の生産地だったと思われます。なお、相模国分寺跡は小田急線・海老名駅の東側500mの台地上にあり、寺院の規模は武蔵国分寺に匹敵する内容でした。この遺跡地は歴史公園として整備・公開されています。
  須恵器の生産は二百年以上も続いたそうですが、木で手軽に作れるお椀お皿や御膳が普及し始めると次第に下火となった。
  さて、御殿山窯で働いていた人々の住居ですが、『No16遺跡』が、窯跡に近い兵衛川(湯殿川の支流)を1・5km下った辺りにあり、ここが最盛期頃の集落であったと想定されています。その理由は、No16遺跡に17箇所の住居跡(集落)が発見され、ここから食事用の皿や椀などの須恵器とカマド材料に用いた瓦(焼いたときの失敗品)が出土したからです。川沿いの傾斜地に住み、湿地帯と山の上の平地(郷田原遺跡)を農業に使っていたと考えられます。
  さらに、石組みのカマドをもつ住居跡(No59遺跡)が、御殿山窯跡群のあった丘陵の中に発見されていました。日常の煮炊き用とは異なり、強い火を必要とする鍛冶(かじ)などを行っていた可能性があります。

*引用書物;@八王子の歴史と文化/発行;八王子市郷土資料館 Aみなみ野の古代窯業 B原始・古代のみなみ野/発行;A&Bは八王子市南部地区遺跡調査会。 

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