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古い由木への散歩道 その25


      今昔のお葬式 ①

 最近はお年寄りが長生きしたり、親族が亡くなっても友人や知人へ知らせることが少なくなってきたせいか、お葬式の体験と知識が乏しくなりました。ですが8・9月号で結婚式のことを書いたからにはお葬式を取り上げないと片手落ちかなと頑張ってみました。
 最近の傾向はネット情報で調べ、古い由木の葬式については「新八王子市史民俗調査報告書第2集・八王子市東部地域 由木の民族」から引用とします。
      

【最近のお葬式の傾向】
 永林寺の近くに住んでいると農協前に葬儀を知らせる「○○家告別式会場」と書かれた案内をしばしば見かけます。これはキチンとした立派な葬儀と思いますが、世の中の多くの葬儀は長引くデフレの影響を受けて簡素化が進みつつあります。
 最近の傾向として、故人の高齢化にともない友人や知り合いが少なくなり、加えて近所付き合いの希薄化、終身雇用制度の崩壊で会社の先輩・後輩の付き合いも希薄になり、お葬式へかける一般的費用の平均値は「5年前→230万円」「3年前→150万円」「昨年→100万円以下」と減少の一途をたどっているとか。
 今や戒名、位牌もネットで買える時代との報告もありました。試しにこの情報を検索したら○○院というお寺のホームページがあって、「戒名申込み用紙」へ戒名を授かる方の生年月日から趣味・宗派などを書き込んで申し込めばオーケーです。このネット戒名を取り扱う寺院は複数あるようで、お急ぎなら「最短1日で」とあります。余りにも手軽過ぎて重みがない感じです。
 「NHK『おはよう日本』~競争激化!葬儀ビジネス」が放映(平成18年8月)されました。この番組内容を公式ホームページから要約すると。突然訪れる家族との離別。悲しみに沈む遺族は、次々と困難な「選択」を迫られます。祭壇の大きさ、会葬者の人数、お浄めの食事、そして戒名・・・・お葬式の費用は、全国平均で237万円(8年前)との報告でした。
 一方、核家族が進む首都圏では、「こじんまりと」「お金をかけず」「自分らしい」お葬式をあげたいという人が増えています。このような方々へ悩みを解決するヒントを与えるのがこの番組の狙いのようでした。

illustration エンデングノート(注 高齢者が自分にもしものことがあった時、残された家族が困らないように伝えておきたいことをまとめておくノートで終活ノートとも言います)すらまだ書いていない私ですが、お葬式が「こんじんまりと」とか「お金をかけず」は分かります。しかし「自分らしいお葬式」はまだ考えていなかったので勉強する必要があります。
 近年行われているお葬式の大まかな種類ですが、次のようなものがあります。なおカッコ内の価格は葬祭業者が示す参考値です。
・一般葬…職場や近所の方、ご友人をお呼びしてお別れをする。(50名様92万円)
・一日葬…ご親族の都合に合わせて、お別れは1日だけ。(10名様51万円)
・自宅葬…思い出のつまったご自宅で過ごすお別れの時間。(10名様39万円)
・無宗教葬(自由葬)…ご僧侶をお呼びしない自由なお見送りのかたち。(10名様39万円)
・音楽葬…読経などを行わないで、故人の好きな音楽を流して故人を偲ぶ葬儀。
・直葬…近年ご遺体を火葬するだけで、通夜・告別式などの儀式を行わない葬儀形式が増えているそうです。亡くなった病院や自宅から直接火葬場へ向かうことから(炉前密葬)などと呼ばれており、以前は身寄りのない方に多い葬儀でしたが、昨今の東京近郊では3割近くがこの直葬です。(30万円前後)
・これ以外に「大型葬や社葬」があります。
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【新しい埋葬・納骨方式のいろいろ】
illustration埋葬にも徐々に新しい方式が出始めました。これは昔ながらの「家」制度が薄れ、核家族化に拍車がかかっているこの頃、時代にあったお別れを求める方式が出ても不思議はありません。例えば次のようなものです。
・仏壇式納骨法…仏壇のように並んだ小さな納骨堂で、上段が位牌、下段が納骨所となっており霊廟型とも呼ばれています。
・ロッカー式納骨法…コインロッカーのような棚へ骨つぼを収蔵し、お詣りの時に取り出すか、後ろの棚の参拝スペースへ出す。
・樹木葬…自然を志向して墓所に外柵や墓石を設けず、遺骨を土中に埋めて樹木を墓標とする葬法のことで、遺骨は土に戻ります。樹木には自分の好む木を植えることもでき、また桜の木で統一する桜葬とか、樹木ではなく花を植えて墓標代わりとすることもあるそうです。「○○家のお墓」に入るのは抵抗があり、その訳は先祖がどのような人物か分からないから選択したという方もいます。
・散骨葬…一般には、故人の遺体を火葬した後の焼骨を粉末にし、海・空・山中などにそのまま撒く葬法のことです。「想い出の場所に」や「最後はここに帰りたい」などの希望を叶えた散骨を自ら決めることができます。最近はペットの散骨もあるとか。
海の場合、散骨には大きく分けて3タイプの種類(方法)があるそうです。
①個人散骨(チャーター散骨)…故人の親族が船を貸し切って行う散骨で式の演出が可能。
②合同散骨…同時に複数のグループが船に乗り合わせて行う散骨で、比較的ゆれも少ない大型の船で行うケースが多く、散骨時間を他のご家族とタイミングを変えるなどの配慮もあるそうです。なお、日本海洋散骨情報センターが紹介する散骨企業は各都道府県にあります。
③代行散骨…散骨企業にお骨を事前に預け、専門スタッフのみで責任を持って行う散骨です。親族のお身体の事情等立ち合いをしない分で費用が安くなります。どのように行われたかの記録写真のサービスもある。

 いろいろと調べているうちに「デジタル仏壇」がありました。平成22年暮に発売された新発想のユニークな仏壇です。A4サイズ位の薄く小さな仏壇の扉を開けると音楽が流れ、位牌や線香・遺影が次々と液晶画面に映し出され、故人の命日や法事の日にちも教えてくれる便利な仏壇です。価格は13~18万円位で、小さな住まいや一人身の高齢者に人気が出そうです。
 この方式は無線ランでネット情報を得るパソコンと思えばいい訳で、画面に触って複数のご先祖様の中から自分の拝みたい遺影を出し、画面上のお線香やお灯明そしてお供物を供え礼拝することになります。この仏壇を扱うお寺や葬祭業者と契約すれば、ご先祖○○様の命日をEメールで知らせてくれ、画面の大きいテレビへつなぐと居間でお経を聞きながらネット法要を営めます。スマホもパソコンの一種ですから「手軽なスマホ法要」も理屈では可能です。
 調べていくうちに、今まで深く考えていなかった「自分らしいお葬式」の選択は、簡単ではなく選択肢の幅が広すぎます。また、墓所についてはお値段もさることながら、ずーっと先々の「時代の変遷と子孫たちの気質・収入の変化」までを想像することは難しく、ご先祖を大事にしていただけるのは何代まで?とは想像が及びません。最後は悩んだあげく『エイヤッ』と決めるか『なんでも普通に』となりそうです。(次号へ)

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