web版 第20-10号(No63)

  大栗川に清流復活を  その2  東部地区環境市民会議 大島錬三

             大栗川に清流復活を  その2
            『多摩川合流地点から源流を訪ねて』

 由木東小4年生の「大栗川を探検する」を満足させる環境学習プログラム作りは今年の4月に着手しました。この探検するを今風に解釈すると、多摩川合流点から源流までの大栗川の姿を知ってもらうことと考えました。
 手始めに、大栗川の源流はどこだろうと調べましたら、昭和以前は御殿峠付近の丘陵が源流地のようです。大栗川に沿ってどんどん上流へ行きますと、多摩美術大学の構内で大栗川は突然に消えました。絹の道を荷車が盛んに往来した明治の頃には、京王御殿山ゴルフ練習場周辺の湧水数箇所が源流だったと推測されます。昭和に至って16号線道路が小川をさえぎり、信号鑓水(由木街道突き当たりの交差点)付近を土地開発したため昔からの源流は無くなったのです。
 そこで最近発行の地図上から現在の源流地点を割り出すと、絹の道碑がある大塚山南麓あたりのようです。大栗川は、鑓水の御殿橋において多摩美大方面と絹の道資料館方面に分かれ、これをさらにさかのぼると諏訪神社・まや霊園方面支流ともうひとつの支流は山野美容芸術短大裏手から流れています。現在の源流本命は大塚山南麓のようですが、マムシが恐いので冬季以外には寄り付けません。川幅約60〜180cmの排水路は、コンクリート三面張りのため、水生生物の棲息には不向きのようでした。
 結局初夏に大栗川を探検するの目的を達成するには、学校近くの湧水を探しこれで源流地点を代用することでした。 
 堀之内には、最後の多摩ニュータウン開発地区である19住区がありますが、ここには「沖の谷戸」(野猿街道信号:堀之内駐在署から北に入った所)があります。昔の谷戸の奥には、必ず湧水があって田んぼや畑を作っていました。沖の谷戸には、湧水と田んぼがセットでまだ残っており、ここで生徒全員と共に川の源流観察をしました。ちなみに沖の谷戸は自然と里山を現状のまま残した公園として保存活用する開発計画となっています。
 ここで大栗川の概要を述べておきましょう。大栗川は国道16号線の御殿峠付近を源流とし、由木街道、野猿街道に沿って東に流れ、松木付近で大田川と合流し、乞田川とは鎌倉街道・関戸橋手前の信号新大栗橋・西南地点で合流します。全長は15・5kmの川で、橋の数は42、川沿いの大部分には遊歩道が整備され、現在の主な役割は雨水と湧水の排水です。
 多摩ニュータウンや南陽台などが開発される昭和40年以前の大栗川の様子を知る人は少なくなってきましたが、「大栗川・乞田川/流域の水と文化」の著者・小林宏一氏によると、くねくねと大きく蛇行する川で、所々その水を堰き止めて水を田に引き入れていた。深い所では泳いだり魚を捕ったり、谷戸には蛍が飛び交うのがあたりまえの田園地帯だった・・・と記されております。そういえば以前にも紹介しましたが、昔はうなぎが捕れたとか長さ1mの大山椒魚を富士見橋付近で小学生が発見し捕獲後に多摩動物園に寄贈したなどがありました。
 ここで一念発起し、大栗川の様子をくまなく知るため、カメラ持参で多摩川合流地点から源流付近までを9月下旬の3日間に分け観察しながら歩きました。
 大栗川と多摩川の合流点は、川崎街道沿いの高台にある桜ヶ丘カントリークラブと南多摩下水処理場の境界あたりですが、大雨が降る度に移動します。川の西側は桜ヶ丘ゴルフカントリーで、高い崖にはニセアカシアやコナラが群生し、岸辺には背の高い雑草が生い茂り徒歩で近づくことは難しい位に自然が沢山残っています。東側の岸辺では小魚を釣っていた太公望2人と野鳥観察の望遠鏡を持った方が6名居られました。カモやシラサギも見えましたが、カワセミが岸辺の小枝から獲物の小魚を狙っていて、この辺の自然の豊かさにおどろきました。
 また、川にはコイが沢山棲み、特に川崎街道の橋脚付近には、餌を求める真コイが約50匹も群れていたり、中流には小魚が群れ、岸辺の草むらにはハグロトンボが飛んでいました。この羨ましい川環境も鎌倉街道(ニュータウン通り)の新大栗橋までの約1kmの区間でした。
 ここより上流の両岸はコンクリート護岸で、川底には石がごろごろとして宝蔵橋(野猿街道の)の先500m位まで続き、この辺に初めての堰(高さ約70cm)が出てきます。宝蔵橋の下流300m位には河原があって、近所の児童約50名が川遊びを楽しんでいました。
 大栗川をさかのぼる魚類の最初の関門となる堰の高さが60cmでは魚が上流に行けません。川底を観察すると、この辺からコンクリート三面張りのような感じでした。川底を確実に観察できたのは、野猿街道の殿田橋(多摩第二小の付近)からの上流です。誰かがコイを放流したらしく2・3匹見かけましたが小魚の観察は出来ません。しかし堰の水流落下点で小魚を求めているようなシラサギがいました。
なお、ここより上流部の川観察結果については、章を進める中で折に触れ紹介を予定します。

(次号に続く)

<<前回の記事「大栗川の今と昔」

戻る



楽天トラベル株式会社

楽天トラベル株式会社

楽天トラベル株式会社

楽天トラベル株式会社

北海道も!沖縄も!飛行機と宿を自由に組み合わせてオリジナルな旅!【ANA楽パック】


発行 下柚木町会  編集 下柚木町会広報部  simoyugi@inr-hat.jp

中高年の方がパソコンを安心して利用できる場所 インターネットルーム ハタノ

inserted by FC2 system